痛みや倦怠感、消化器症状などの身体的な苦痛が持続し、日常生活に支障をきたしているにもかかわらず、検査では器質的な異常が見つからない。
そうした状態を包括的に捉える考え方です。本稿で「機能性障害」と呼んできたものは、この機能性身体症候群とほぼ重なります。
不調をどう理解し、整えていくか
近年、WHOの新しい国際疾病分類(ICD–11)では、「身体的苦痛症」という枠組みも導入されました。「検査の数値がどうか」よりも「その症状のせいで、どれだけ生活に困っているか」を重視する考え方です。
これまで専門科ごとにバラバラに扱われてきた「見えない不調」を、ひとまとまりの問題として捉え直そうとする動きの一つと言えるでしょう。
なお、機能性障害は「ある/ない」の二択ではなく、グラデーション(連続的な濃淡)です。先ほど挙げた病名がつくのは、グラデーションの濃い端のほうにあるものです。
けれど実際には、どの診断基準にもぴったり当てはまらないものの、確かに不調を感じている、という方が数多くいらっしゃいます。
「病名がつかない=問題がない」ではありません。グラデーションの薄い段階で体のサインに気づき、生活を見直すことこそが、濃い方向へ進まないための最大の予防策です。
もちろん、「検査で異常がない不調」が、すべて機能性障害だというわけではありません。機能性障害は、「検査を受けなくてよい」という意味でもありません。
必要な検査で重大な病気がないことを確認したうえで、それでも残る不調をどう理解し、どう整えていくか。
そのための入り口として、機能性障害という考え方を役立てていただきたいと思っています。



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