車で言えば、外見はピカピカなのにエンジンのかかりが悪い、アクセルの反応が鈍い、ブレーキの効きが不安定、という状態です。
見た目には大きな故障がない。けれど、明らかに本来の働きができていない。
これが機能性障害です。
「異常なし」=「つらくない」ではない
では、なぜこうした「働きの不具合」は、診察室で十分に説明されにくいのでしょうか。
その理由の一つは、現代医学が主に「目に見える変化」や「測定できる数値」に注目して発展してきたことにあります。検査で「異常」が見つかれば、根拠をもって診断を下し、治療方針を立てることができます。
これは現代医学の大きな強みです。
一方、機能性障害の場合はこうした手がかりが極めて乏しいのです。
そのため、患者さんがつらい症状を訴えても、「検査では特に問題ありませんね」「少しストレスが溜まっているのかもしれませんね」という説明にとどまることが少なくありません。
これは決して、医師が怠慢だったり、患者さんの苦しみを軽視しているわけではありません。現在の医学教育や診療システムでは、この「目に見えない不調」を十分に言語化し、共有することがまだできていないという側面があるのです。
では実態はどうでしょうか。
内科のクリニックを訪れる患者さんのうち、およそ3人に1人(約3割)が、この機能性障害の可能性を秘めた悩みを抱えているとする報告があります。
私自身、一般内科の外来を担当していた際、想像以上に多くの方が「検査に現れない不調」に悩まされていることに驚いた経験があります。現場の感覚からしても、この「3割」という数値は決して大げさなものではありません。


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