ただし、従量税がいつも悪いという意味ではない。たばこ税や環境税のように消費や生産が社会に別の損失を与える場合には、税によって取引量を調整することが望ましい場合もある。ここではまず、税が買い手と売り手の間に差を生み、取引量を変えるという基本を押さえておこう。
補助金で取引を増やしすぎると損失が生まれる
補助金というと社会的損失とは結びつきにくいかもしれない。しかし、従量補助金も市場を歪めることがある。
従量補助金とは、取引1単位ごとに支払われる補助金である。例えば、ある製品1台あたりの購入補助、農産物1単位あたりの生産補助、公共交通の利用1回あたりの補助などを考えるとわかりやすい。
従量補助金があると、買い手が支払う価格は低くなり、売り手が受け取る価格は高くなる。買い手にとっては「安く買える」ように見え、売り手にとっては「高く売れる」ように見える。そのため、補助金がない場合よりも取引量は増えやすくなる。
ここで注意したいのは、取引が増えること自体が、いつも社会全体にとって望ましいとは限らないという点である。
買い手は安く買え、売り手は高く売れているとき、その差額は政府の補助金によって埋められている。
社会全体で見ると、限られた資源を使ってその費用に見合わない取引を増やしてしまっている場合がある。
つまり補助金によって、本来なら成立しなかったはずの取引まで成立し、その結果として社会全体の得が小さくなる、言い換えると死荷重が生じるのである。
ただし、補助金には望ましい場合もある。教育や環境負荷を下げる技術のように、取引の外側に社会的な利益がある場合には補助金によって不足していた取引を増やせることもある。大切なのは、補助金によって増える取引が、社会全体の得を本当に増やしているのか、それとも費用に見合わない取引を無理に増やしているのかを見極めることなのである。



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