前出の調査では、静かな退職を実践しているのは男性の中では60代が7.5%と最も多かったが、再雇用制度が大きく影響している。
再雇用で「無理しないで働く」「難しい仕事は若い者に」
大手化学会社の人事担当者は「60歳定年で退職金を受け取り、『定時に帰れるし、給与も下がるのだからあんまり無理しないで給与に見合った働き方でよいだろう』と考える社員が増えた」と嘆く。
再雇用制度を長く続けてきた大手部品メーカーでは、定年後に退職しないで再雇用を選択する人が8割を超えるようになった。
しかし同社の人事担当者は「給与が半減することで『もう現役じゃないから忙しく働く必要もないし、難しい仕事は若い者に任せよう』と、肩の荷を下ろした気分になる人が増えている」と語る。
まさに静かな退職状態といえる。
しかもこれは今に始まった話ではない。経団連の16年の調査によると、自社の高齢社員に関して生じている問題として「再雇用後の処遇の低下・役割の変化等により、モチベーションが低下」と回答した企業が最も多く53.4%に上っていた(「ホワイトカラー高齢社員の活躍をめぐる現状・課題と取組み」16年5月17日)。
この傾向はその後も変わらず、同じく経団連の調査(「2023年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果」24年1月16日)によると、企業が高齢者雇用で「課題と感じている」項目では「高齢社員のエンゲージメントやパフォーマンス」と回答した企業が87.9%もあり、うち「特に感じている」が62.0%もあった(複数回答)。


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