2026年8月、医学誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』にデンマークとスペインで行われたREACT研究が掲載されました。これは、心筋梗塞や脳梗塞などの既往がない18〜70歳の成人1万6808人に対し、頸動脈と大腿動脈、冠動脈の3カ所を画像検査で調べた研究です。
その結果、3カ所すべてを撮影できた1万3186人のうち、57.1%に自覚症状のない動脈硬化(プラーク)が見つかりました。動脈硬化は血管を詰まらせる大きな原因の1つです。
目を引くのは年代別の数字です。18〜29歳でも男性の8.7%、女性の6.7%にすでにプラークがありました。30代になるとその数字は高まり、男性34.6%、女性21.3%となっていました。また、若い世代のプラークには特徴があり、頸動脈に多く見つかっていました。先に述べたアテローム血栓性脳梗塞は、まさにこの頸動脈のプラークから始まります。
もちろん、この研究はデンマークとスペインの住民を対象とした横断研究なので、日本人にそのまま当てはまるとは限らず、プラークがあることが直ちに脳梗塞を意味するわけでもありません。また、「若いうちから血管の画像検査を受けよう」という話でもありません。
お伝えしたいのは、動脈硬化は症状が出るずっと前、20~30代から静かに始まっている。だから血圧、脂質、血糖、喫煙への対策は今から始めたほうがいいということなのです。
「タイムリミット」がある最新治療
続いて治療について説明します。
脳梗塞と診断されると、血流を妨げている「血栓を溶かす」、あるいは「取り除いて」血流を回復させる治療が行われます。
■血栓溶解薬
前者は血栓溶解薬(遺伝子組み換え組織プラスミノーゲン・アクチベータ=rt-PA、アルテプラーゼ)による治療が標準的で、現在の日本の保険診療のルールでは、発症から4.5時間以内に治療を開始することになっています。
ただし、近年は発症時刻がはっきりしない場合、MRIでペナンブラが確認できれば適応となるなど、時間の枠は少しずつ広がっています。適応時間が広がれば「救える人」が増えるため、大きな意味を持ちます。


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