ちなみに今回開発された新型の「IMAXフィルムカメラ」は「ザ・キーリー」と名付けられているが、それは約500作品のIMAX作品の監修を手がけてきた第一人者であり、IMAX社の最高品質責任者のデヴィッド・キーリーと妻パトリシアにちなんで名付けられたもの。
ノーラン作品の過去作同様、本作でもパトリシアとともに、本作のフッテージの現像とプリントを監修し続けていたデヴィッドだが、本作の仕事を終えた3週間後に逝去。本作のエンドクレジットに“デヴィッド・キーリーに捧げる”と寄せられているのもノーランがIMAXに向ける思いの強さを感じさせる。
説明が少し長くなったが、つまり「巨大なIMAXフィルムカメラ」というのは単なる撮影のためのツールということにとどまらず、ノーランが映画という芸術に捧げる情熱と狂気のシンボルであると言える。今回発売された「The Prime Collection IMAX(R)フィルムカメラ・ポップコーンボックス」が映画ファンの熱い支持を集める背景には、そうした哲学が隠されている。
大人向けのコレクターズアイテムとして世界的なブームに
実は筆者も初日にTOHOシネマズ新宿に買いに行ったのだが、7時半の時点で整理券番号が70番台。劇場入口を取り囲むように行列は続き、劇場のオープン時間となる朝8時の時点では150~200人近い観客が並んでいたと思われる。
そして劇場がオープンしてからも次々と購入者が来場。初日のSNS上では「無事に買えた」「もうすぐ売り切れそう」などといった報告が相次いだ。TOHOシネマズの担当者に販売状況を尋ねたところ、「数量は非公表ですが、9/4発売から9/6時点で入荷数の約8割以上を売り上げております」との返答が。もし売り切れた場合、現時点では残念ながら再販の予定はないとのことだった。
映画館のポップコーンボックスといえば、かつては子ども向けのグッズという位置づけだった。だが近年では、北米をはじめとする世界的なブームを受け、高級感を備えたポップコーンボックスが大人向けのコレクターズアイテムとして急速に市場を拡大している。
日本国内でもその流れは加速しており、TOHOシネマズが展開する「TOHO CINEMAS The Prime Collection」シリーズでは、これまでにも『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』のAT-ATやグローグーといった兵器やキャラクターなどを再現したボックスや、『プラダを着た悪魔2』の赤いバッグ型ボックスといった、趣向を凝らした商品を続々と販売。値段も数千円から、ものによっては1万円を超える商品などもあるが、即完売を記録する商品が相次いでいる。
ちなみに「TOHO CINEMAS The Prime Collection」シリーズとは、「数年前よりアメリカを中心にブームになってきたプロモーションポップコーンベッセルズですが、弊社でも2023年12月公開の『ウィッシュ』を皮切りに『TOHO CINEMAS The Prime Collection』としてセレクトした商品を輸入販売しております」(TOHOシネマズ担当者)とのことである。
そんな盛り上がりを見せる『オデュッセイア』だが、9月11日から全国上映がスタートする。こちらではIMAX(字幕)に加え、2D(字幕/吹替)、Dolby Cinema(字幕)、体感型上映の4DX(字幕/吹替)およびMX4D(字幕/吹替)、35mmフィルム上映(字幕)と、全6種9バージョンで上映される。
ノーラン作品といえば、IMAXで観ておきたい1本であることは間違いないが、漆黒のコントラストと立体音響が特徴のDolby Cinema、フィルム特有の粒子感や深みのある色彩が特徴の35mmフィルム上映なども気になるところだ。特に35mmのフィルム上映は貴重な機会となりそうで、現時点では、愛知のミッドランドスクエア シネマ、広島の八丁座、109シネマズプレミアム新宿での上映が予定されている。
配給のビターズ・エンド担当者も「IMAX版は既にリピーターの方もいらっしゃるため、様々なフォーマットの上映が始まる11日からの公開で、さらに大きな反響を呼ぶことを期待しています」とコメントを寄せている。


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