第2の「冷たすぎる」反応は、失敗の責任はすべて自分にあると考えるものだ。
そのために完全にやる気をなくし、屈辱感を味わい、2度と交渉をしたくなくなる。もし再び交渉のテーブルにつくとしても、大きな不安をかかえ、自分の能力に自信を持てずに臨むことになるだろう。
折れない心を持つ交渉者になるには
第3の「ちょうどいい」反応こそ本書の核心となる。
ちょうどいい反応とはどういうものか? まず交渉者は、交渉の結果としての失敗はありうると理解し、それを受け入れている。もし失敗したなら、その冷たく厳しい現実に直面し、その解明にかかる。そして不快な感情を乗り越えたのち、その失敗の中身を理解するプロセスに入るというものだ。
このプロセスとは、のちに生かせる教訓は何か、失敗に結びついたミスは何か、そもそもなぜそうしたミスを犯したのかについて考えることだ。
こうした反応は必然的に、これまでの固定化した知識や価値観を見直し、不要なものを取り除くアンラーン(学習棄却)につながり、2度と同じミスをしなくなる。そして最後に、失敗したせいで傾いたテーブルを元に戻し、席について再び交渉を始めるだろう。
そうなるには、折れない心(レジリエンス)をそなえ、すぐれた交渉者になるには継続的な学習を続けるしかないという気づきが必要になる。
さきほど話した就職に関する失敗を、私は忘れることができなかった。
折れない心を持つ(レジリエントな)交渉者となること、すなわち失敗しても埃を払ってまた立ち上がり、そこから学び、将来に活かせる教訓を手にして交渉の場に戻れる交渉者となることが重要だとわかったのはまさにあのときだ。
そして私は、自分の失敗から学ぶということを何度も考えた。交渉で自分の目的を果たせなかったとき、実際には何をどう学べばいいのか。また、このきわめて困難な学びを効果的に行うために、何が必要だろうか。
折れない心を持つ交渉者になりたいと願うのはいいとしても、正しいマインドセットと知識、スキル、自信がなければ、その域にはたどり着けない。


※ログイン後、コメント入力が可能です。