私たちは合意に達することができなかっただけでなく、関係までこじれてしまった。私はさまざまな意味で失望し、この企業が業界で幅をきかせていることを思って、これが自分の評判にも悪い影響を及ぼすのではないかと不安になった。
このあと同僚から言われたことを、私は決して忘れないだろう。「君は自分が思っているほどの重要人物じゃないって気づいたなら、そういう失敗にずっとうまく対処できるんじゃないかな」
厳しいアドバイスだったが、まさに彼の言うとおりだ。私は失敗した。だがその企業は、ついでに言えば世界は、そんなことなど歯牙にもかけずに前へ進む。
失敗に対する3種類の反応
私も前に進まなければならなかったが、その前に、何が悪かったのか、なぜそうなったのかを考えなくてはならなかった。それから、私のしでかした失敗はごく少数の人間にしか知られていないこともわかってきた。
「私は失敗した」とこだわり続けていたのは私だったのだ。このできごとは、何年もの間、私の心の中にとどまり続けた。
一般に、交渉で失敗したときの反応は3つに分かれる。ロバート・サウジー作の『ゴルディロックスと3匹のくま』という童話とのアナロジーで考えてみよう。
森で道に迷い、腹ぺこのゴルディロックスという女の子は一軒家を見つける。その家の住人は留守だったが、おかゆのはいったボウルが3つ置いてあった。最初のボウルのおかゆは熱すぎ、2番めは冷たすぎ、3番めはちょうどよかったという物語だ。
これを交渉の文脈で言うと次のようになる。
第1の「熱すぎる」反応は、否定と正当化だ。
この反応では、交渉者はこう考える。「交渉の目標を達成できなかったのは自分のせいではない。ほかの人に責任がある。彼らがXかYかZをしていれば、こんなことにはならなかった」
こう考える交渉者は、自分の失敗から何も得られない。なぜなら、自分の評判を守ることにかまけ、他の交渉者の力不足やどうにもできなかった状況のせいにしているからだ。
こういう交渉者は失敗から学ばずに再度交渉のテーブルにつき、自信過剰のまま、同じミスをするだろう。


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