ところが、ここ数年、この空気が明らかに変わってきています。「むしろ広く浅いほうがいいのではないか?」という議論が、真面目に語られるようになってきているのです。
世界的ベストセラー『RANGE』が突きつけた問い
その象徴が、デイビッド・エプスタイン氏の『RANGE(レンジ)知識の「幅」が最強の武器になる』(日経BP)という本です。原題は"Range: Why Generalists Triumph in a Specialized World"。副題を直訳すると「なぜジェネラリストが専門化された世界で勝つのか」となります。
全米ベストセラーになり、ビル・ゲイツ氏やダニエル・カーネマン氏らが絶賛したことでも知られています。
この本で語られているのは、まさに「広く浅いほうがいい」ということです。
エプスタイン氏はまず、スポーツの世界から議論を始めます。よく引き合いに出されるのが、ゴルフのタイガー・ウッズ選手と、テニスのロジャー・フェデラー選手の対比です。
ウッズ選手は幼少期からゴルフ一本に絞って英才教育を受けた「早期専門型」の代表。一方、フェデラー選手は少年時代にサッカーやバスケットボール、スキーなど幅広いスポーツを経験し、テニスに絞ったのはむしろ遅かった「多様経験型」の代表です。
エプスタイン氏が成功者たちを幅広く調査すると、じつは「タイガー型」よりも「フェデラー型」のほうが多かった、というのです。


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