それでもMVアグスタがシャフトドライブを採用した背景には、レースでのブランドイメージを守るという意図があったともいわれる。市販車をベースにしたプライベートライダーがレースに参戦し、「MVアグスタのマシンが敗れることを避けるためだった」という。当時、レース界の名門だったMVアグスタだけに、その名誉を傷つける行為(レースに負ける)ことを嫌った結果だといえる。
さらに、750スポーツを象徴する装備のひとつが、独特の燃料タンクである。丸みを帯びた形状から、イタリア語で「空飛ぶ円盤」を意味する「ディスコボランテ」と呼ばれたこのタンクは、当時のMVアグスタを象徴するデザインとして知られている。
今回展示された73年式の車両について、オートプレステージの担当者は「当時の塗装をそのまま残している」と説明する。表面には当時の塗装技術ならではの凹凸も見られるが、再塗装は行っていないという。
各部の保存状態も非常に良好で、大がかりなレストアを施した個体ではないという。単に希少なだけでなく、オリジナルの状態を保ちながら美しいコンディションを維持していることも、2600万円という価格につながっているようだ。
750Sアメリカはなぜ1800万円なのか
一方の750Sアメリカは、750スポーツをベースに、当時から大きな市場だったアメリカを意識して開発されたモデルだ。
展示車にはオプションのカウリングが装着されているが、標準仕様はカウルを持たない。750スポーツから大きく印象を変えた角張ったデザインも特徴で、レーシングマシンを思わせる力強いスタイルに仕上げられている。
エンジンは750スポーツと同じ直列4気筒DOHCだが、排気量は789ccまで拡大。最高出力は約76PSを発揮。最高速度は210km/hに達したといわれている。


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