しかし、航空機・ヘリコプター事業への注力や二輪市場の低迷などから、MVアグスタは77年に二輪車事業を停止。そこまでにレースで37の世界選手権タイトルを獲得し、26万台ものバイクを生産した。
その後、ブランドは一時休眠状態となるが、92年に同じイタリアの2輪車メーカー、カジバがブランド権を獲得し再興。まさに、20世紀のモーターサイクル史を語るうえで欠かせない名門ブランドが、再始動を果たし現在に至っている。
MVアグスタ750スポーツとは
そんなMVアグスタが70年に発売したのが、今回の主役である750スポーツだ。
セパレートタイプの低いハンドルや、後端が隆起したシングルシート風のデザインなど、レーシングマシンを思わせるスタイルを採用。現在でいうカフェレーサーを彷彿とさせる精悍なフォルムも大きな魅力だ。
開発の背景には、69年にホンダが発売した「CB750フォア」の存在があったとされる。
CB750フォアは、ホンダとして初めて量産車に並列4気筒エンジンを搭載したモデルで、当時としては突出した性能を誇った。世界的なヒットモデルとなった日本の高性能バイクに対し、MVアグスタが送り出した回答ともいえるのが750スポーツだった。
搭載するのは743ccの空冷並列4気筒DOHCエンジン。CB750フォアのエンジンが、吸排気系バルブに「OHC(シングル・オーバーヘッドカム)」を採用したのに対し、より燃焼効率や出力を向上できる「DOHC(ダブル・オーバーヘッドカム)」を装備。より高性能であることをアピールした。
さらに、後輪への動力伝達にはシャフトドライブを採用している。一般的なスポーツバイクではチェーン駆動が主流だが、シャフトドライブはチェーンの給油や伸びに対する調整などが不要で、メンテナンス性に優れる。一方で、重量や動力伝達効率などの面では、スポーツ走行に適したチェーン駆動に分がある。


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