MVアグスタといえば、40年代から数々の名車を生み出し、60~70年代には2輪レースの最高峰「WGP(ロードレース世界選手権・現MotoGP)」で圧倒的な強さを誇った、イタリアを代表する名門メーカーである。
そのルーツは航空機メーカーのアグスタにある。シチリア出身の貴族ジョバンニ・アグスタ伯爵が20世紀初頭に創業した航空機会社が前身で、27年に伯爵が亡くなった後は、妻のジュゼッピーナと息子のドメニコが事業を引き継いだ。
第二次世界大戦後、イタリアでは航空機の製造が禁止されたことから、アグスタは二輪車事業に注力。45年に「MV(メカニカ・ヴェルゲーラ)」ブランドを立ち上げ、同年秋には最初のモデル「MV98」を送り出した。MVとは「Meccanica Verghera」の略で、最初に工場を構えたヴェルゲーラに由来する。
輝かしいレースでの戦歴
その後は高性能な市販車を次々と開発するとともに、レースにも積極的に参戦。50年代後半から70年代にかけて、さまざまなレースでタイトルを総ナメにするほどの圧倒的な強さを発揮した。
とくに、前述のWGPでは、頂点といえる500ccクラスで、68~69年にかけて20連勝をマーク。87年に一時WGPを撤退していたホンダの19連勝(250ccクラス)という記録を打ち破り、当時のグランプリにおいて他を寄せ付けない強さをみせた。
こうしたレースで培った技術とブランドイメージを背景に、MVアグスタの市販車も高い評価を獲得。高性能なエンジンやレーシングマシンを思わせるスタイルは、現在まで続く同社のブランドイメージを形作っていった。


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