さらに、私がいた物流センターは東京駅まで車で25分という、首都圏への巨大マーケットに向けて即座に配達ができる場所にありました。配送スピードを何よりも大切にしているアマゾンにとっては、理想的な立地です。
これらを踏まえると、追加人員を雇わず、場所探しも不要な現在地での事業投資は、たとえ7億円必要だとしても、おそらく副社長は了承してくれると考えました。
しかし、私はそこで少し思いとどまりました。仮に了承してくれたとしても、コストのかかるありきたりな案で、あのアマゾンの副社長が満足するでしょうか? この問いこそが“攻めのリスクマネジメント”の始まりでした。
一般的に、お金がかかるということは大掛かりなことなので、時間もかかります。アマゾンでの案も、物流センターを拡張するために壁を取り払い、巨大な機械を2台搬入し、電気配線や通信経路を組み直すという大掛かりなものでした。
その結果、計画開始から完了までのざっとした必要期間は1年半。さらに、機械搬入時は物流センターそのものを停止しなければなりません。
お金も時間もかかるこの案に、アマゾン副社長が満足するわけがありません。そこで私は「彼を心の底から満足させるために、誰も思いつかないような“すごい案”を作り出す」と決心しました。
守りを担保できれば攻められる
しかし、決心しただけですごい案が生まれるはずがありません。この時点で、副社長へのプレゼンまで残り5週間。できるかどうかもわからないことのために、完成までの必要期間が予想できないことに取り組むのか?
ここで私が、もし「アマゾン副社長に直接プレゼンできるなんて、一生のうち一度あるかないかの大チャンス。そのチャンスにかけて、一か八かすごい案ができるかどうかに全力を尽くそう」と思っていたら、私のリスクマネジメント力はゼロです。


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