世帯分離をした子どもは、生活費等の諸経費に加え、一人暮らしをしている場合には、住居費もすべて自分で稼ぐ必要があるため、他の学生以上にアルバイトに励むことになります。そうすると、今度は「所得あり」とみなされて、入学金・授業料減免制度、返済不要の給付型奨学金制度などが利用できなくなるという、構造的な問題点を抱えているのです。
僕の場合も、大学入学後は、学業を継続するために必死でアルバイトなどを行いましたが、所得を得たことで、かえってJASSOの諸制度を利用できなくなり、ふりだし状態に戻るという経験をしました。
生活保護世帯の子どもだからと言って諦める必要はない
ここまで見てきたように、生活保護世帯の子どもが大学に進学しようとした場合は、世帯分離制度や修学支援新制度などさまざまな制度がありますが、どれにも課題はあります。生活保護世帯の子どもの大学等進学率が、全国平均より大幅に低い理由は相応にあるということです。
ただ、だからと言って、現在、生活保護世帯から大学受験を目指している生徒たちが、希望する進路を諦める必要はありません。
僕が上梓した『ヤングケアラーの僕が東大に合格するまで』では、生活保護世帯のヤングケアラーだった僕自身が、困難や葛藤を抱えながら東京大学への進学を目指した経験を、ありのままに描きました。
それは「努力すれば誰でも逆境を乗り越えられる」と伝えるための成功物語ではありません。むしろ、家庭環境や経済状況によって、子どもの進路の選択肢そのものが減らされてしまう現実を知ってもらうために書いたものです。
子どもが大人になるのは、驚くほどあっという間です。いま中学生や高校生である子どもたちが直面している問題を解決するためには、彼ら彼女らが大人になってから「あのとき、もっと支援していればよかった」と振り返るのでは遅いのです。必要なのは、「いま」制度を問い直し、「いま」できる支援を考えることです。
この記事が、そして書籍が、こうした問いを考えるきっかけとなることを願っています。


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