では今後はどうでしょうか? 社会保障費の増加、高市政権の積極財政、国債費の増加といった要因で、国の借金はますます増加します。人手不足・円安・資材高騰などで、物価上昇率(インフレ率)も上がります。いずれも長期金利の上昇に作用します。
つまり、96年は「デフレの入り口」の手前で長期金利はこれから下がっていく段階だったのに対し、現在は「インフレの入り口」に明確に入り、これから上がっていく段階です。長期金利の水準は同じでも、方向性は真逆なのです。
個人向け国債だけではインフレ対策は不十分
資産運用では、金融環境の動向を踏まえる必要があります。明確に「インフレの入り口」を入った現時点では、インフレ対策が最も重要な検討事項です。
1000万円の現金・預金を保有する家計を想定して考えてみましょう。病気・事故・失業などいざという時に備える「生活防衛資金」200万円を普通預金にして、残り800万円で個人向け10年物国債・変動金利を購入するとします。
普通預金の利率はメガバンクだと0.4%、個人向け10年物国債・変動金利の利率は1.95%です。加重平均すると、1000万円全体の利率は1.64%です。税引後では1.30%です。
日銀は、消費者物価上昇率を以下のように見通しています(政策委員中央値)。
2026年度:2.8%
2027年度:2.3%
2028年度:2.0%
つまり、個人向け国債を買って1.30%の利回りを実現しても、物価上昇率のほうが高いので、実質的には財産が目減りしてしまいます。
そしていま、輸入物価の急騰などを受けて、消費者物価上昇率が大きく上振れることが確実な情勢です。普通預金・定期預金のまま置いておくよりははるかにマシですが、個人向け国債を買うだけではインフレ対策としては不十分と言えます。


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