なお、国債・預金の利息には所得税など20.315%が課せられますが、片山さつき財務大臣は、国民の国債保有を促すためNISA(少額投資非課税制度)への組み入れなど優遇措置を具体化する考えを示しています。もし実現すれば、税制面で国債が有利になるでしょう。
以上をまとめると、①利率は国債のほうが高い、②投資リスクは大差ない、③国債には税制優遇措置を期待できる、となります。①③から国債のほうが圧倒的に有利で、現金・預金から個人向け国債に移し替えるという昨今の動きは、極めて合理的だと言えます。
30年前とはまるで違う投資環境
では、保有する現金・預金をすべて個人向け国債に振り向けるべきでしょうか? この点について考えるにあたり、金利水準が同じだった30年前の96年と現在の投資環境を比較しましょう。まとめると、以下の表のようになります。

91年にバブルが崩壊し、その後97年の金融危機、08年のリーマンショック、11年の東日本大震災、20年のコロナ禍と、次々に大ショックが日本経済を直撃しました。
30年前の96年は、バブル崩壊の影響が顕在化し、長い不況へと突入していく手前で、物価は「非常に安定(あるいは底打ち)していた時期」(日本銀行)でした。まだ国の借金も少なく、長期金利は落ち着いた動きでした。
その後、ショックへの対応や不況時の経済対策で、国の借金が膨らみました。日銀が国債を大量購入するという異次元の金融緩和で長期金利を抑え込みましたが、24年に金融緩和を解除したことで、長期金利が上昇し始めました。現在は、金融が正常化する途上です。


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