有料会員登録 東洋経済オンラインとは
ライフ #首都圏、住むとちょっといい街

埼玉クオリティの家賃で東京の支援は総取り…"パラレルワールド伝説"が囁かれる境界駅の「素通り商店街」に迫る存続危機

15分で読める
秋津商店会
東京都東村山市にある秋津商店会(写真:筆者撮影)
2/7 PAGES
3/7 PAGES

そんな連想はさておき、奥村さんの境界論はとても興味深い。

「これは私の持論なんですけど、ここ東村山市秋津町のように埼玉との県境にある街や、他にも江戸川区や葛飾区の東側など、他県との境界はまさに“住むとちょっといいところ”ですよ。都心に出るのも簡単だし、ベッドタウンが多いから物件が豊富です。また、隣接する他県クオリティの家賃で、東京都民になれる場所でもある。だから、弊社も例えば子育て世代の方々から問い合わせがとても多いです」(奥村さん)

東京都は給食費や高等学校の授業料の実質無償化だけでなく、 0~5歳児の保育料完全無償化、0歳から18歳までの子どもを対象に所得制限なしで1人あたり月額5000円(年間最大6万円)を支給する「018サポート」など、埼玉県、神奈川県、千葉県の知事が反発するくらい、子育て支援策が充実している。埼玉クオリティの家賃で東京に住み、東京クオリティの支援を受ける。秋津ではこれが可能だ。

「また東村山市秋津町の場合は、お隣埼玉県所沢市よりも家賃が安いという逆転現象が起こっているんです。秋津なら、シングルタイプで3万5000円くらいから相談に乗れます。この価格帯だと築年数が古くてバス・トイレが一緒になっているタイプの部屋ですね。築年数が浅めの物件でも4万5000円くらいで、バス・トイレ別なら5万5000円くらいからのイメージです。ファミリータイプだと築年数が古いものであれば5万5000円くらいからで、浅めのものだったら8万円くらいからのイメージですね。これが所沢に行くと、もう少し高くなってしまうんですよ」(奥村さん)

話題は家賃から商店街に移った。都内の中心部でもシャッター商店街が増える昨今だが、秋津商店会は、シャッターの降りている店舗はごくごく稀だ。1日5万人の人通りがこの街を支えているわけだ。ただし、この人の流れに大きな変化が起きようとしている。

鉄道会社側の説明に抱く疑問

繰り返すように、これまで西武池袋線の秋津駅と、JRの新秋津駅は400メートルの商店街を通らなければ行き来できなかった。ところが、2030年代の早い段階をメドに、商店街を通らなくても行き来できるような連絡通路が設置されることになった。降って湧いたようなこの計画を、街の人たちはどう考えているのだろうか。秋津商店会会長の武藤勤さんは次のように語る。

住宅地図で連絡通路の説明をする武藤さん(写真:筆者撮影)

「今年の5月12日に、商店会関係者や町内会の人たちを対象に説明会がありました」

説明会の内容を要約すると以下のようになる。

秋津、新秋津両駅の改札間は約400メートル離れており、現在は乗り換えのために一般道路(商店街)を歩く必要がある。朝夕のラッシュ時には、歩車分離されていない道路に乗客があふれ出し、安全性の確保が長年の課題となっている。こうした背景から、JR東日本と西武鉄道は両社の所有地を活用した、雨に濡れない全天候型・バリアフリーの乗換通路を整備することで合意。線路脇の未利用地などを活用し、既存の商店街を経由せずに両駅を直結するルートになる。歩く距離も大幅に短くなる。

4/7 PAGES
5/7 PAGES
6/7 PAGES
7/7 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数