数学の本として紹介したいのは、『知って、感じて、好きになる! 面白い数学の教科書』(ナツメ社)です。
数学嫌いの子に「数学は面白いよ」と言っても、なかなか信じてもらえません。
なぜなら、子どもが学校で出会う数学の多くは、計算問題だからです。方程式を解き、公式に数字を入れ、正解か不正解かを判定される。それだけを繰り返していれば、「数学とは、数字を速く正確に処理する教科だ」と思ってしまいます。
しかし、本来の数学はもっと広いものです。
SNSの「いいね」の数、暗号化技術、仮想通貨、建築物、宇宙開発、自然界に現れる形。現代社会のあらゆるところに、数学的な考え方が使われています。
本書は、数字の起源から、フラクタル図形、黄金比、暗号化技術、シミュレーション、最先端の数学までを、オールカラーのイラストとともに紹介しています。
この本の面白さは、「数学が役に立つ」と説明するだけではないところにあります。人間はなぜ数を生み出したのか。なぜ図形を定義し、証明する必要があったのか。自然界には、なぜ数学的な形が現れるのか。数学が少しずつ発見され、積み上がってきた歴史には、1つの大きな物語があります。
数学が得意な人は、答えを出すことだけを楽しんでいるわけではありません。「なぜこうなるのだろう」「別の考え方はできないだろうか」と試行錯誤することを楽しんでいます。
保護者の方には、子どもが数学の問題を間違えたとき、すぐに「計算ミスでしょ」と終わらせないでほしいと思います。
「どこまでは合っていた?」「別の解き方はあるかな?」と聞いてみる。数学を正解当てゲームから、考え方を探すゲームに変えるのです。
そのためにも、まず大人が「数学は計算だけではない」と知っておく必要があります。本書は、その入り口になる一冊です。
社会科とは「世の中を観察する解像度を上げる教科」
社会の本として紹介したいのは、『スーパーって観光地やねん』(青月社)です。
タイトルの通り、この本では、旅先のスーパーマーケットを「観光地」として捉えます。
観光地というと、有名なお寺やお城、博物館などを思い浮かべるでしょう。しかし、地域の暮らしが最もよく表れている場所の1つは、地元の人が普段使っているスーパーです。
北海道では「やきそば弁当」が並び、大阪ではさまざまなソースが売られている。高知には田舎寿司やこんにゃく寿司があり、沖縄の牛乳には本州で見慣れない容量の商品があります。
それらは単なる珍しい食べ物ではありません。なぜ、その地域ではその食材が使われるようになったのか。気候、地形、産業、交通、保存方法、歴史、人々の生活習慣など、さまざまな要素が商品の棚に表れています。
本書では、日本一周を3回経験した著者が、各地のスーパーで見つけた料理やお菓子を豊富なビジュアルとともに紹介し、その土地の文化的背景を読み解いています。
僕は、社会科とは「世の中を観察する解像度を上げる教科」だと思っています。
地理の教科書で「この地域は温暖な気候で農業が盛んです」と覚えるだけでは、知識はテストが終われば抜けてしまいます。しかし、実際にスーパーへ行って、「東京では見ない野菜が多い」「魚の種類が違う」「同じ商品でも味つけが違う」と気づけば、知識が現実とつながります。
旅行先で有名な観光施設だけを回るのではなく、親子でスーパーに入ってみる。そして、「どうしてこれはここでしか売っていないんだろう」と考えてみる。それだけで地理、歴史、産業、文化を横断した学びになります。
社会科を好きにするために、年号や県庁所在地を無理に面白く説明する必要はありません。まず、いつもの風景の中に地域の歴史が隠れていることを教えてあげればいいのです。




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