二人のコミュニケーションは、娘のクレアさんにも受け継がれている。思春期の難しい時期を迎えた今でも、一度や二度ではうまく伝わらないときにも、数日経ってから同じテーマで話すこともある。
話を聞いていると、二人の関係性は建設的なコミュニケーションが土台にあり、お互いへの深い理解があると感じる。少し踏み込んで、お二人に「結婚生活の危機はこれまでになかったのか」と尋ねてみた。
珠緒さんがその質問を英語でジェロームさんに伝えると、「それはプライベートなことだから、話す必要がない」とはっきりとNOの反応が返ってきた。公私をきっぱり分ける欧米人らしいジェロームさんの一面を見た気がした。
珠緒さんは「そこまでの危機はないですけど、私自身は夫婦二人だけのときと、子供が生まれた後での役割の変化に悩んだことはありましたね」と少し教えてくれた。
ジェロームさんは、珠緒さんについて「彼女は自分にとって、アンカーのような存在だ」と話す。
「船が港に停泊するときにはアンカーが必要で、彼女と私が繋がっているからこそ、何かが起きたときにも立ち向かっていけると思っている」
彼は私の一番の理解者
珠緒さんはジェロームさんが話す様子を静かに見つめながら、こう続けた。
「彼とは同い年なので同じ目線で話ができるし、二人で培ってきた土台があるので、私の一番の理解者だと感じています。一緒にいてくれると安心できる存在ですね」
考えや価値観のすれ違いは、国際結婚に限らず、どんな夫婦にも当てはまることだ。特に、フィンク夫妻の場合は言語の壁があったことで、相手を理解するためのコミュニケーションを意識的に取り続けてきた。
相手との感じ方や考えの違いを、生まれ育った国が違うからというだけで流さず、興味を持ちながら理解するために会話を続ける。そのコミュニケーションが20年で地層のように積み重なり、二人の土台になっている。
後編では、まったく共通点のなかった二人がどう出会い、結婚に至ったのか。そして、二つの文化が混ざり合う結婚式の様子、日仏ミックスの娘さんについて聞く。


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