6月12日にナスダック市場へ上場したスペースX。初日の時価総額は2.1兆ドル(約336兆円)と未曽有の巨大IPO(新規株式公開)となったが、それを支えた幹事団もまた空前の規模だった。世界中から名だたる証券会社が集められ、857億ドル(約14兆円)を調達すべく株式の販売に奔走した。
総勢22社のうち、日系証券で唯一幹事団に入ったのが米国みずほ証券だ。引き受けたスペースX株は約3500億円。海外IPOを日本の個人投資家に販売する「POWL(Public Offering Without Listing、上場なき公募)」を用いた例としては前代未聞の金額だ。SBI証券や楽天証券とも連携しながら売り切った、異例の総力戦を追った。
11年前の「買収」が契機に
「やれやれ」。みずほ証券の浜本吉郎社長は、吉報に胸をなでおろした。
5月20日、スペースXが米証券取引委員会(SEC)に提出した、目論見書にあたる「S-1」が公開された。「Mizuho」。引受証券一覧の中に、米国みずほ証券の名前もあった。幹事団に加わるという下馬評こそあったが、正式な発表はこの日が初めてだった。

日本では野村証券などと競い合う一角にすぎないみずほ証券だが、北米ではほかの日系証券を突き放す。LSEG(ロンドン証券取引所グループ)によれば、2025年の日本株引き受け額は3位。一方、グローバルでは12位で、アジアの金融機関としてはトップだ。欧米の巨大投資銀行群を指す「バルジブラケット」に次ぐ地位に立つ。
北米での存在感は、過去の買収劇が転機になった。みずほフィナンシャルグループは15年、イギリスのロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)から北米企業約200社に対する貸出債権(32億ドル)を取得。同時に100人超の人材も受け入れ、現地企業との接点や投資銀行業務のノウハウが拡大した。
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