「娘の作るお菓子は工程が多すぎるので、ずっと続けていたら朝から晩まで作ることになるかもしれません」と睦美さんは笑う。
時には誰も声をかけられないほど集中し、夜が更けることもあるという。お菓子作りの過程で失敗しても、次の日にはまたやり直す。それを毎日5年間、繰り返している。
日常生活では仲のいい友達に、お菓子作りが趣味であることを公言している。そのため、作ったお菓子を家族以外にも食べてもらう機会がある。
学校の先生も彼女の活動を知っており、年に一度、シンガポールの学校文化である「先生の日」に、感謝のプレゼントとして手作りのマカロンなどをあげると、とても喜ばれるそうだ。睦美さんが「(自分で食べるより、)食べてもらう方が好きだよね」と聞くと、瑠那さんは「うん」と頷いた。
実は庶民的な、お菓子作りの道具たち
「シンガポール在住」「父は金融関係、母は元銀行員」「14歳のプロ級スイーツ」。こう単語が並ぶと、「きっと恵まれた環境で高価な製菓道具を買いそろえてもらっているのだろうな」と想像した。
だが、瑠那さんが使用しているゴムベラやボウルの大半はシンガポールの「ダイソー(100円ショップ)」で揃えられたものだった。何かで代用することもあるという。
例えば、台の上のチョコレートをすくったり、削ったりする時に使う「三角パレット」を、瑠那さんが「買ってほしい」とおねだりしたことがあった。
しかし、価格は50シンガポールドルほど(日本円で約7000円)と高めだったことから、睦美さんは購入に難色を示した。そこで瑠那さんは、代わりにお好み焼き用のヘラで「代用できそう」と思い、買って戻ってきたという。


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