これは、教育格差の問題をかなり深い場所から問い直しているように思います。「私立に通えるか」「塾に通えるか」「参考書を買えるか」「大学の学費を払えるか」とか、そういう問題ではなく、「努力すれば未来が変わる」と本人が信じられるかどうかそのものが、もう一つの格差になっているのではないでしょうか。
昔の先生は家庭に入り込んだ、けれど今は線が引かれる
昔の学園ドラマには、今では考えられないような場面がたくさんあります。先生が生徒の家まで飛んでいったり、親と向き合って怒鳴り合ったりする。あるいは、学校の先生が家庭の問題にまで介入し、「お母さんに楽をさせてあげるためにもっと勉強しろ」とか言ったりする。『3年B組金八先生』をはじめ、当時の教育ドラマでは定番の展開でした。
これらのドラマは、教員の長時間労働が社会問題になっている今、ほぼ幻想になっています。学校と家庭の間に引かれる線は、以前よりはるかに太くなっていて、生徒の家庭にまで踏み込んだことを言う余裕は、先生にはほとんどありません。というか、今の社会、そんなことは求められなくなっているのではないでしょうか。
2024年10月からは、生活保護世帯の子どもを対象とした「子どもの進路選択支援事業」が制度化されました。専門の支援員が家庭を訪問して、進路や奨学金、生活環境について一緒に考える仕組みです。このようにして、学校は学校でできる支援をし、家庭の問題は福祉につなぐようになってきています。
この分担自体は非常に合理的で、現場の負担を考えれば当然のシステムです。なんでもかんでも学校の先生がなんとかしていた昔のほうがおかしかった。しかし、その継ぎ目からこぼれ落ちていく子どもが確実にいる、と僕は感じています。


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