YouTubeを開けば、英語でも数学でも一流の授業が受けられ、わからない問題はインターネットで調べられます。学校では1人1台のパソコン端末を使った学習も当たり前になりました。
支援制度も、この十数年で大きく拡充されてきました。高校では授業料の実質無償化に加え、教科書代などを補助する給付金によって私立に通う選択肢も生まれています。さらに2020年からは大学などでも「高等教育の修学支援新制度」が始まり、給付型奨学金と授業料減免がセットで受けられるようになりました。「お金がないから進学を諦める」という壁は、確実に低くなっています。
しかし、それでも経済格差から来る教育格差問題は解決してはいません。例えば厚生労働省の資料によると、2024年の大学等進学率は、全世帯の子どもでは76.4%なのに対し、生活保護世帯の子どもでは40.6%にとどまっています。実に35.8ポイントの開きがあるわけです。これだけ制度が拡充されてきたのに、なぜなのでしょうか。
生活保護世帯から大学に進むと、家計が苦しくなる
一つには、制度上の壁があります。生活保護世帯の子どもが大学などに進学すると、原則として本人の分は生活保護の対象から外されます。「世帯分離」と呼ばれる扱いです。
誤解されやすいのですが、これは「大学に行ってはいけない」という制度ではありません。家族と一緒に暮らしながら大学に通うこともできます。
ただし、進学した本人の分の生活保護費は原則として支給されなくなります。こうなると、大学に合格すると家計はむしろ苦しくなります。さらに本人の学費や生活費は、奨学金やアルバイトで賄う必要があります。アルバイトのお金を家計に入れると、その分、生活保護費が削られます。


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