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「この二人が本当の両親だ」とわかったとき、絶望した――群ようこが"親を他人"と思って生きるようになった少女時代

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夫婦喧嘩のイメージ
「やっぱりこれが私の本当の家なのか」と気づいたとき……(写真:LadadikArt/PIXTA)

INDEX

エッセイストの群ようこさんが70歳を過ぎ、これまでを振り返ってみると、お金に仕事、家庭と、「しでかしたり、やられたり」の連続だったそう。
子どもの頃は、お金がなく夫婦仲も悪い家庭で育ち、「この両親のもとに生まれたことが失敗だった」と思っていたそう。そんな群さんの少女時代の話を、エッセイ『この家に生まれたことが失敗だった?』より一部抜粋・再編集してお届けします。
前編:父から「俺の子ではない」、出生届は3カ月以上出されず…群ようこが“本当の両親”を探した少女時代

「今一緒に住んでいる人たちは、私の本当の両親じゃないの。実は本当のお父さんはフランス人のパイロットで、お母さんはファッションデザイナーだったの。そしてとてもかわいい弟もいたの」とまた一段声を潜めると、彼女は眉根を寄せて、「何いってんの、馬鹿じゃないの」と冷たくいい放った。

あまりの言葉に今度は私が、「えっ」と驚くと、「フランス人ってフランス人形だよ。ようこちゃんはどこがフランス人形なのよ。どうみたって金太郎じゃない。それに弟も顔がそっくりだし。本当の家なんてあるわけないじゃないの」といった。

「えっ……」

私はぶつぶつと、自転車を漕いで見つけた素敵な洋館と庭をのぞいた話もした。それでも彼女は、「ふん」と鼻で笑っていた。そして、

「あたしはクラスのみんなに話さないから、ようこちゃんも他の人にその話をしちゃだめだよ」と釘を刺された。えっ、そんなに人には聞かせられない話なのかと、私は一気に意気消沈し、「わかった。もう誰にもいわないよ」と返事をした。

「そう、そのほうがいいよ」と彼女は納得した顔をして、「またね」と手を振って十字路で別れた。

素敵な洋館は、やっぱり夢だった

そこから長屋に帰るまでは、地獄の時間だった。せっかく見つけた幸せがざーっと遠のいた。重い気持ちで玄関の戸を開けると、案の定、両親は喧嘩していた。母親がお金がないといって怒っていた。父親はそこを何とかするのが妻の役目だろうなどといっていて、いつも喧嘩はこのパターンなのだった。やっぱりこいつは私の弟かと認めざるをえない男子は、またぼーっとヨーグルトを食べながらテレビを観ていた。

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