(やっぱりこれが私の本当の家なのか)
広い庭付きの素敵な洋館も、素敵な服もかわいい弟も短い夢だった。それからの私はすべて諦めて過ごした。少しでも早くこの家から出ることばかりを考えていて、小学校を卒業したら働こうと思っていた。
しかしなぜか急に父親のグラフィックデザイン事務所の仕事が軌道に乗り、同じ区内で有名な出版社の役員が所有している、広い賃貸住宅に引っ越すことになった。広い庭にプレハブ住宅を建てて、そこを事務所代わりにしていたが、父親の性格上自分以外のどんな人も気に入らず、新しい人が来たと思ったら、すぐにいなくなるのを繰り返していた。
そしてお金の使い方もそう簡単には変わるわけがなく、お金が入ったら自分の好きなものを買って、残金が私たちの生活費というのは変わらなかった。母親としては、これから教育費もかかることだしといっても、彼は、
「公立、国立に行けないのだったら、進学などやめろ」
と自分の行動を反省することすらしないで、そんなことをいい放ったので、また夫婦喧嘩がはじまった。子どもの私としては、お金が多く入れば夫婦喧嘩がなくなるのではと思ったが、多少、お金が入っても、喧嘩は収まらないのだとよくわかった。父親は家族よりも自分のためにお金を使う方針を曲げなかったのだ。
「本当の両親だ」とわかり絶望
これが自分の親と考えると、腹が立つのかもしれないが、私の場合は、もともと他に本当の両親がいると本気で思っていたので、何とも思わなかった。どうやらこの二人が本当の両親らしいとわかったときは絶望した。それでもこの二人を好きになるように努力しようとは考えず、私のなかでは本当の両親かもしれないが、私にとっては他人という気持ちでいた。子どもなりに距離を取っていた。


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