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「この二人が本当の両親だ」とわかったとき、絶望した――群ようこが"親を他人"と思って生きるようになった少女時代

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夫婦喧嘩のイメージ
「やっぱりこれが私の本当の家なのか」と気づいたとき……(写真:LadadikArt/PIXTA)
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父親がいない家は快適だった。彼は家族全員を自分のいいなりにさせようとするので、家にいるだけで鬱陶しかった。それが平日はいないので、3人でのんびり過ごしていた。母親がいちばん明るかった。しかし週末には帰ってくるので、カレンダーを見ては、土日がやってくると、私はため息をついていた。これで本やレコードを買ってはだめといわれたら、私はグレるしかなかったと思うけれど、その制限がなかったのは私にとって幸いだった。

本は際限なく買ってくれた

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両親は音楽が好きだったけれど、本は読まなかった。それでも私が本好きとわかると、自分たちはそれほど興味がないのに、際限なく買ってくれたのは、お金がないとはいいながら、それなりに私のことを考えてくれていたのだろう。

その後、親から本を買うのを禁止されていたという子がクラスにいて、ものすごくびっくりしたことがある。教科書や参考書は学校で使うのでやむをえないが、その他の本を買うのは読んでいる時間とお金の無駄遣いといわれたそうだ。

いったいお父さんはどうしているのかと聞いたら、会社から帰ってきたら、お風呂に入って、晩御飯を食べて、少しお酒を飲んで、あとはぼーっとテレビを観ているといっていた。その子が、「お父さんも本くらい読めばいいのに」といったら、ものすごい形相で、「父親に口答えをするな!」と叱られたのだそうだ。

その子はお小遣いは申告制だったので、本を買うとばれてしまうので、読みたい本は学校の図書室で借りているといっていた。それも借りているのが父親にばれると、「本なんか読んで」と叱られるので、こそこそと隠して読んでいるという。そんな気の毒な子がいるのかと同情し、私は、「お父さんとお母さんは嫌い?」と聞いてみた。

するとその子は、「ううん、好きだよ」といった。そんなことをされても、まだ両親が好きなのかと思ったが、彼女は噓ではなく、真面目な顔でそういったのだ。自分と同じではと思っていた私は、「ああ、そう」と気落ちした。そして、「お父さんとお母さんは、大切にしなくてはいけない」というのだった。私は、「あー、そうねえ」といいながら、この子とは友だちにはなれないなと思った。

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