購入者の61%はarrows以外からの乗り換えで、推奨度を示すNPSはプラス34.7と、同社として過去にない水準だったという。
その矢先に、後継機の企画を揺るがすメモリ価格の高騰が起きた。外谷氏は、arrows Alphaを継続販売しても値上げは避けられないと説明する。同じ商品であっても、メモリの調達タイミングによって価格が動いてしまうためだ。
FCNTが実施した市場調査では、9割超が物価高騰を、8割超がスマホ価格の上昇を実感していた。ただし、利用者は安さだけを求めているわけではなかった。
4万円以上の中価格帯以上の機種を使う層ほど「多少高くなっても今と同等以上のスペックを選びたい」傾向が強かったという。価格を守るためにスペックを下げる選択肢は、調査が否定した。SNSや自社コミュニティ「arrowsポータル」に寄せられた5000件超のコメントにも目を通し、優先順位を付けて企画に反映したという。
SoC格下げを準備し、撤回した
検討の過程では、端末の処理性能を左右する中核半導体であるSoCを、より下位のクアルコム製「Snapdragon 7 Gen 4」に変更する準備も実際に進めていた。SoCはコスト削減の効果が最も大きい部品の一つだからだ。しかし調査では、この価格帯の購入者が最も妥協できない項目はCPU性能だった。
FCNTが出した結論は、MediaTek製「Dimensity 8350 Extreme」の続投だった。買い替えサイクルに入る4年前のハイエンド機が積むSnapdragon 8 Gen 1と比べて約30%高い性能を確保し、これを下回る体験は提供できないという判断だった。もっともこのSoCは、他社では8万円前後のミドルハイ級の機種が採用するもので、Snapdragon 8 Elite系を積む現行のフラッグシップとは位置付けが異なる。
一方で、従来の12GB+512GBに加えてより少ない8GB+256GBモデルを新設し、手に取りやすい価格帯を維持した。ハイエンドをうたう機種に8GBメモリを載せることについて、外谷氏は「大きな妥協があった」と率直に認めた。
そのうえで、仮想メモリの上乗せにより12GBモデルと同水準の24GB相当までメモリ領域を広げられるようにし、arrows AIやカメラ機能には8GBモデル専用のチューニングを施した。長期利用でメモリが断片化した12GBモデルと比べても、同等以上のアプリ切り替え速度を実現したと説明している。


※ログイン後、コメント入力が可能です。