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「胸を失い、温泉に行けなくなった友人の声がきっかけに」 心の傷に寄り添う「人工ボディ」製作者が社会の無理解に挑む理由

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エピテーゼ
指がない状態の部分にスポッと取り外しができるエピテーゼ(写真:エピテみやび提供)
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1つ目は、地域による格差。エピテーゼに関する情報や相談先、利用できる制度には、地域によって差がある。住んでいる地域によって、必要な情報や選択肢にたどり着きやすさが異なるのが現状だ。

2つ目は、周囲の理解のなさだ。見た目が変わり、当事者が傷ついていても「命が助かったのだから、外見のことは我慢するしかない」と周囲から言われたり、本人自身もそう思い込んでしまったりすることがある。年齢などを理由に、外見の悩みを軽く捉えられてしまうこともあるという。自分らしく生きるためにエピテーゼを選択しようとしても、周囲の価値観によって、その選択をためらってしまうことがある。

3つ目は、行政、医療、当事者の間で情報が十分につながっていないこと。エピテーゼという選択肢があっても、必要な情報にたどり着けず、必要とする人に届いていないケースがある。

こうした課題を解決するため、2019年、田村さんは一般社団法人日本エピテーゼ協会を立ち上げた。事故や病気、先天的な理由などによる体の変化や欠損に伴う外見の悩みに対し、エピテーゼという選択肢を広めるとともに、普及啓発や人材育成を行うことを目的としている。

地域格差や情報の分断を減らしていきたい

エピテーゼについて正しい情報を広めるとともに、アピアランスケアに取り組みたい専門職が、それぞれの専門性を土台に、エピテーゼに関する知識と技術を学べる場をつくり、地域で相談や製作に対応できる人材の育成に取り組んでいる。今後は自治体・企業・教育機関との連携も目指し、地域格差や情報の分断を減らしていきたいと語る。

「エピテーゼを必要とする人の母数は、決して多くはありません。だからこそ、情報が届きにくく、一人で抱え込んでしまう人もいます。まずは、エピテーゼという選択肢があることを知ってもらいたいです。そして、それぞれが持つ専門性にエピテーゼを掛け合わせることで、これまで一人では応えきれなかったニーズにも対応でき、選択肢を広げていけると考えています」

見た目に悩む人に寄り添い、エピテーゼを通じて、その人がこれからどう過ごしたいのかを一緒に考えていくことは「自分の使命」だと言い切る田村さん。

その思いは、製作者として一人ひとりに向き合うことにとどまらず、日本エピテーゼ協会を通じた普及啓発や人材育成へと広がっている。現状に満足することなく、さらに新しい歩みを進めていくに違いない。

【前回の記事】「命が助かったんだから、胸を失ったくらいで」と言われた人も…体の一部を失った心に寄り添う「人工ボディパーツ」の舞台裏

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