そういった人たちが、なぜ、どのように、多くの人に愛され、評価される商品を作り続けることができているのだろうか。
「うちの仕事の作り方は、『この商品があるからこういう人を雇います』じゃなくて、『この人ならどんな商品が作れるかな』というところがスタートなんです。だから月に3〜4個しか売れない商品もあるんですけど、その商品を辞めちゃうと、その人の仕事がなくなっちゃうので、辞められないんですよ」
小さな規模の石けん工房のわりに、約130種類もの商品があるのはそのためだという。笠原さんは、工場内を歩きながら「それが全部売れてくれれば一番いいんですけど」と豪快に笑った。
通常の石けん工房では簡素化や効率化をはかる部分も、すべて人間の手作業で行う。例えば、石けんの「バリ」とよばれる、押し切ったときにできる潰れた部分を取り除く作業も、ここでは敢えて手作業だ。作業の選択肢が多ければ多いほど、一人ひとりに合った仕事を選べる。その結果、いろいろな人の雇用を生む。
現在、ねば塾の従業員は33名。そのうち14名が障害者手帳をもっており、手帳を持っていない人も含めると、6〜7割がなんらかの働きづらさを抱えている人だ。
従業員を守るために変えたこと、変えないこと
ねば塾の人気商品「白雪の詩」も、袋詰めしかできない従業員のために生まれた商品だ。入塾から10年間毎日ほぼ寝ていたという男性従業員は、発売当時、「白雪の詩」を1日に1200個袋詰めをするプロフェッショナルになった。
しかし、コロナ禍を経て体調が変化し、今では午前中のみ、400〜500個程度を詰める。それでも自分の横に1万枚の袋の在庫がないと、パニックになってしまう。


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