かつて旅行ガイドといえば「実用書」の代名詞だったが、今やコンテンツとしていかに存在感を高めるかが問われる時代になったのだ。
27歳の若手社員が発案「実用書」からエンタメIPへ
その流れの中で、今回の『るるぶ■■版 蓋ヶ瀬』を作ったのは、JTBパブリッシング事業推進部営業チームに所属する27歳の若手社員・柿沼由樹氏である。
近年のエンタメ界では、ウェブ小説やSNS、YouTubeなどを起点としたモキュメンタリーホラー作品が大ヒットを記録している。
柿沼氏自身もこのジャンルのファンであり、「従来の『突然ドカンと驚かせるホラー』ではなく、『考察を重ねるほどにじわじわと恐怖が増していく不穏さ』が、若い世代を中心に強く支持されていることを肌で感じていた」という。
「モキュメンタリー作品では、よく『実在しそうな雑誌や動画』がアイテムとして登場します。ならば、誰もが知っている本物の『るるぶ』の体裁でホラーをやれば、強烈なリアリティとギャップが生まれて絶対に面白いはずだと思いました」(柿沼氏)
早速柿沼氏は、社内で熱烈なプレゼンを敢行した。
だが、信頼性と正確な情報が売りである『るるぶ』が「モキュメンタリーのガイドブック」を作ることは、一歩間違えれば読者の誤認を招き、老舗ブランドを毀損するリスクと隣り合わせでもある。
社内でも当初は懸念の声があったというが、最終的にGOサインが出た理由は「長年培ってきたガイドブックの編集技術が、そのまま最高のエンタメ演出になる」という確信だった。


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