ちなみにこうした変化は、人とクマとの“距離”が近くなりすぎたため、クマが“人慣れ”していることによるものだと思われる。
私たち人間が、クマの行動パターンを変えてしまった可能性も否定できないのだ。
だからこそ今後は、人慣れしたクマにどう対処すればいいのか、あるいは人間とクマが互いに干渉しない適切な距離を保つには、どんな取り組みが必要なのかを模索していかなければならないのだろう。
油断と慢心がリスクを高め、遭難を招く
そして、もっとも避けるべきが遭難で、それは低山でももちろん同じだ。
見逃すべきでないのは、低山での遭難事故のもっとも根本的な原因となっているのは、登山者自身の油断や慢心だという指摘である。
低山にも多くのリスクが存在しており、危険度も、標高の高い山とさほど変わりはないという。
もちろん高い山にくらべればリスクの切迫度は低いかもしれないが、それでも対処を誤れば、命に関わることにもなる。
しかし、それを理解はしていても、「登山届なんて出すまでもない」「水と食料さえ持てば大丈夫」「標高が低いから大した山ではない」「コースタイムが短く体力的にラク」「里が近いから迷ってもすぐ下りられるだろう」といった、リスクを軽視する心理的バイアスがどうしても働いてしまい、「低山でも油断は禁物!」というほうにはなかなか頭を切り替えられない。(33〜34ページより)
その結果、リスクを見落としてしまい、判断を誤り、結果として遭難のリスクが高まっていく。それが低山で起きる遭難事故の図式なのではないかと著者は推測しているが、そのとおりではないだろうか。
つまり「低山だから」とナメてかからず、“さまざまなリスクのあるひとつの山”だということを把握し、リスクマネジメントをしっかりと行うことが大切なのだ。
いつになるかはわからないが、そのあたりをしっかり踏まえたうえで、私も将来的には低山としての高尾山と向き合ってみたいと思っている。

