だからこそ、アクセルを踏み続けるだけでなく、緩める感覚も必要になる。
「どれだけ気力があったとしても、人間の体は限界を超えれば壊れてしまうもの。そこから引いて考えると、やはり『足るを知る』ということではないでしょうか。とめどない欲望に対して、自分がどう向き合い、どうコントロールしていくか。それが、その人がどう成功するか、ひいては、どう美しくいられるかにもつながっていくのではないかと思います」
時代に合わせるだけが、正解ではない
欲望との付き合い方と同じように、本木が大切にしているのが、時代との距離の取り方だ。1965年(昭和40年)生まれの本木は、多感な時期を昭和の時代に過ごした。還暦を迎えた今も、当時身についた感覚が自分の中に残っているという。
「たとえば、少しスパルタ的な精神だったり、上下関係があって当たり前だという感覚など。今はもう、その形で推し進めるということはしませんが、自分の中にまだそういうものを許容する瞬間はあります」
その距離の取り方を考えるとき、本木が思い出すのが、樹木希林さんから聞いたという「時代とどう寝るのか」といった言葉だ。
「時代に合わせて生きることが、必ずしも正解ではない。大人になれば、それはわかってくるんですよね。そのために、自分自身をきちんと俯瞰して、何を譲り、何が譲れないのかを何度も見返すことは必要だと思います。時代との距離感をどう取るのか。時代に沿うのか、あえて沿わないのか。その加減と主張を見極めながら、自分なりのバランスを作っていくことが大事なのかなと思います」
最後に本木は、少し照れたように付け加えた。
「私自身も散らかって生きているタイプなので、なかなかそれらしいことは言えないんですけどね」


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