有料会員登録 東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #西野智彦の金融秘録

力ずくの第1次再建合意「大蔵省に従うことにしたい」、日債銀ノンバンクが原型 住専アリ地獄③

6分で読める 有料会員限定
小山嘉昭審議官
小山嘉昭審議官(写真:共同)

INDEX

1992年夏。住宅金融専門会社(住専)7社に対する金融機関の融資一覧表を眺め、大蔵省銀行局長の寺村信行は「時間をかけるしかない」と考えた。

住専を設立した母体行と一般融資行との間で損失分担が合意できるまで、住専の不良債権は処理できない。なぜなら住専自身に当事者能力がないからだ。

過去の金融政策・経済政策の検証に取り組む筆者が、当時の政策決定プロセスや当局者たちの人間模様に迫る。【月曜日更新】

ところが、ほぼすべての銀行が母体行であると同時に一般融資行でもあるため、利害関係が錯綜し、損失分担の合意が簡単にはできない。行政指導で合意を促す手もあるが、最終処理に導くための“決め手”に欠ける。公的資金は当面投入しないとすでに決めている。

公的資金を使わず、自己責任で不良債権を処理するということは、すなわち銀行の内部留保と毎年の業務純益で償却するということだ。だが、頼みの株式含み益は、一挙に益出ししようとすると株価が暴落し、含み益そのものが吹き飛びかねない。業務純益も金融機関全体で年間5兆円程度だ。

「やっぱり、これは時間のかかる話だ」。寺村はそう結論づける。

仮に即時処理を求めようとしても、応じられない銀行の合意は得られないため、結局、処理は不可能になる。膨大な株式含み益がある以上、銀行はその体力の範囲内で、計画的、段階的に処理していくしか道はない──。後に「壮大な先送り」と批判される銀行局の基本戦略がこうして固まった。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数