筆者自身も子どもの頃から何度も訪れている。中学時代は、境内の講堂で行われる剣道の試合に通っていた。店の少ない田舎では、参道の出店でクレープや綿菓子を買えるのがうれしかった。埼玉の学校へ進学した姉を訪ねて初めて上京した時、原宿の竹下通りを歩いて、この参道を思ったこともある。
今も県外から人が来たら、散歩コースとして案内したりする。参道の中腹には、前編でも紹介した祐徳稲荷羊羹の店がある。
ところで、祐徳稲荷神社はなんの神様なのか? これまでは商売繁盛の神様だと思っていたが、改めて調べたところ、衣食住から芸事、交通安全まで、暮らしを全般的にカバーしてくれる懐の深い神様のようだ。
ちなみに懐の深さは、神様の守備範囲だけじゃない。地上から本殿まで110段ほどあると言われる階段を、エレベーターで昇ることもできる。子供や高齢者にやさしい設備が充実しているのだ。
緑に映える鮮やかな朱色の本殿は、その外観から「鎮西日光」(ちんぜいにっこう)とも呼ばれるそうだ。本殿からさらに20分、朱色の鳥居が連なる坂を登れば奥の院。眼下には有明海が一望できる。連なる朱の鳥居も、伏見だけじゃないのだ。
佐賀県民が沸いた「近所にスタバ」事件
佐賀いちばんのオシャレスポットといえば、図書館である。武雄市図書館だ。近所の人も学生も観光客も訪れる。この図書館には、スターバックスコーヒーが併設されている。
2013年の完成時、「うちの近所にスタバができた」と、私はうれしくて言いふらした。実際には、実家から車で15分、10キロ離れている。しかし、佐賀の「車で15分」は、もはや近所だ。
実はこのスタバ、地方自治体が運営する図書館としては初めて出店されたものだ。当時、全国で「図書館にスタバ?」と話題になったが、地元は「ついに武雄にスタバが来た!」と沸いた。少なくとも私は沸いた。庭に源泉を掘り当てたくらいに。
佐賀県民にとって、近所にスタバができるのは大事件なのだ。テレビで見ていた世界が、現実になるのだから。


※ログイン後、コメント入力が可能です。