勉強しなくなった安田さんが入学した高校は、大学進学率は現役で約20%。偏差値は40を少し上回るくらいのレベルだったそうです。
高1の夏から父親の再婚相手と同居することになりましたが、その再婚相手にとって、安田さんの母親は最も恨むべき対象でした。そのため再婚相手は、恨みの対象である母親の子供である安田さんのことも、憎しみをぶつける相手として見るようになったのです。その結果、家の中でいじめが始まり、家に帰れなくなった安田さんは夜の街でアルバイトをしながら夜中まで外で過ごします。
一方で地元のヤンキーコミュニティでもASDの特性で空気が読めず、いじめに遭いました。「来週までに2万円用意しろ」とヤクザへ払う上納金を要求されることもあり、払えなければ家や学校の周りを囲まれるという状況が続きました。アルバイトも10か所以上転々としましたが、いずれも3カ月と続きませんでした。
「学校でも家でも、ヤンキーのコミュニティでも、バイト先でも、どこにいても居場所がないと思っていました」
絶望が深まる中で、大学に行きたいという思いが芽生え始めます。
「東京に行って大学に行きたいと思うようになりました。 (自分の人生の)すべてが、そこに行けばリセットされる気がしたんです」
「国連に行って世界を変えたい」
高3に入ってから、勉強をしようと思って辞書を引きながら新聞を読み始めた安田さん。しかし、具体的にどこの大学に行きたいという目的はなかったため、悩みながらの勉強だったそうです。
しかし、高3の9月を迎え、安田さんに転機が訪れます。新聞を辞書を引きながら読み解いていたある日、アメリカ同時多発テロが起きたことを知ります。
「世界が大変なことになっていると思いました。そのとき、自分はこういう世界を変えられる人間になりたいと思ったんです。そういう問題を解決するには国連に行けばいいのかなと思い、国連に行っている人が多いのはどこかを調べたら、東大とICUでした。だから、東大かICUに行けば人生が変えられるんじゃないかと思い、2大学を志望しました」


※ログイン後、コメント入力が可能です。