企業型の確定拠出年金については、一部の会社では個人も追加入金をすることができる。これはマッチング拠出といい、iDeCoと同等の税制優遇を受けられる。
これ以外には、私的年金として誰もがイメージするであろう民間の個人年金保険、あるいは企業内で積立貯蓄をする財形年金貯蓄なども老後に用いるための資産形成手段といえる。
なお、「年金」という言葉にこだわる必要はあまりない。
例えばNISAで2000万円を資産形成した人がいて、そこから月5万円程度自動解約させて生活用の口座に入金するようにしておけば、これまた私的年金といえる(大手ネット証券には定期的に定額の自動解約・取り崩し機能がある)。
その意味では、個人がリタイアまでに増やしておいたお金は、定期預金でも500円玉貯金でも「私的年金」といっていいのだ。
デキュムレーションの工夫は必須
退職一時金のように年金払いを前提としていない制度の場合、資産の取り崩しを意識的に考える必要がある。
私たちはまとまったお金があっても怖くて取り崩しを行なえない傾向があるからだ。
また、取り崩しについて否定的に扱われてきた経緯もある。
「今あるお金は全額残して、子に相続する」
「みだりに取り崩して空っぽにしてしまうことはみっともない」
「元本を割らずに利息だけを崩すならよい」
というようなイメージは根強い。
資産を運用しつつも計画的に取り崩すことをデキュムレーションという。取り崩しを行なうとしても一定のリスクを取ってリターンが得られれば、取り崩しのスピードは抑えられる。
それに、そもそも老後のゆとりのために蓄えた資産なのだから、計画的であれば残高が減ってもいいはずだ。
ベストセラー『DIE WITH ZERO』(ビル・パーキンス著、児島 修訳、ダイヤモンド社)などは幸せや思い出のためにもっとお金を使うべきだと主張しているので、一度耳を傾けてみてほしい。
市場の騰落が生じたとき、特に株価下落時には取り崩し額を減らすような工夫も提唱されている。
こうした工夫をうまく活用できれば資産の寿命も長くなる(デキュムレーションの専門家である野尻哲史氏が提唱する「定率取り崩し」の工夫など)。重要なのは、取り崩しはあってもいいのだ、という感覚である。


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