ボタンを押すと、前席背後のスペースを覆うように、ウインドデフレクターがポンっと飛び出してくる。垂直でなく、水平というのがおもしろい。
このウインドデフレクターは、コクピットへの風の巻き込みを抑えつつ、前席背後に置いた荷物を保護する役割も持つはずだ。
スパイダーがいわゆる“カブリオレ”と違うのは、サイドウインドウをおろして走るのがカッコいい、という点だ。私もサイドウインドウをおろして高速道路を走った。
ガマンしてでもスタイル優先、という決意だったが、風の巻き込みが少ないせいもあり、意外なほど快適で静かだった。夏の夕方から早朝までの時間帯のドライブは、最高ではないか。
「運転しやすい」チューニングの妙
アマルフィ スパイダーは、雰囲気重視のスポーツモデルでなく、実際の空力も当然考えられている。ソフトトップは5層で構成されていて、風が当たっても変形せず、きちんと風を車体後方へと流す役目を果たす。
リアエンドには、電動スポイラーがそなわり、速度に応じて角度を3段階で変える。駆動される後輪が浮き上がらないよう、風の力を利用して車体を下へと押しつけるのだ。
高速道路を1時間ほど走ったあと山岳路に入った。標高が上がっていくと、周囲にあまり木が生えていない。赤い色の岩で出来たような土地だ。
道は意外によくて、日本の東名高速などよりていねいに手入れされている印象。アマルフィ スパイダーは、不快に跳ねたりしない。
すばらしいと思ったのは、アクセルペダルによる緻密な速度コントロールができることだ。右足の力を緩めると、減速も早い。非常に繊細だ。
ステアリングフィールは、少しゆるい。「運転しやすいようにわざとそうしている」とクーペのアマルフィに乗ったとき、技術者から説明を受けたのを思い出した。
とはいえ、アマルフィ スパイダーを存分にドライブできるようになるには、高い技術と胆力が必要だ。


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