子どもが不登校になると、家庭の状態は少しずつ変わっていきます。ある日突然、何かが起きたわけではありません。小さなズレが積み重なり、気づいたときには「いつも通り」が成立しなくなっていきます。
家庭が非常事態に切り替わる
まず変わるのは、朝です。平日の朝に子どもが家にいる。それだけで、頭の中に警報が鳴り続けます。子どもへの対応、きょうだいへの配慮、学校への連絡、崩れていく予定。時間の感覚は壊れ、家の中は常に緊張状態になります。
だれかが悪いわけではないのに、だれも安心できない。事件が起きているわけではありません。それでも家庭の中は、確実に非常事態へと切り替わっていきます。
しかもそれは、外からはほとんど見えません。親自身も、この状態を非常事態だと認めきれないまま、動き続けていることが少なくありません。日常の延長のつもりで、急に戦闘態勢に入ってしまう。休むことより、何とかしようとすることが優先され、気力は静かに削られていきます。
家庭が非常事態になると、会話にも変化が現れます。子どもが学校に通っていたころは、学校や友だちの話が自然と出てきて、会話に困ることはありません。ところが、学校に行かなくなると、話題は一気に減ります。頭の中は学校に行っていないことばかりになり、別の話をしても、気づけばそこに戻ってきてしまうのです。
朝は決まって、返事のわかっている質問から始まります。「今日どうする?」「行けそう?」そして、「このままでいいの?」「いつまで続くの?」「将来は大丈夫なの?」…と、答えの出ない問いが頭の中を占拠します。


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