小林氏自身も、SNSの先に見ているものがある。「家庭科の先生を増やしたいんです」と。
Instagramを見た教員が、「自分には家庭科は無理」と諦めるのではなく、「これならやってみよう」と一歩を踏み出す。その先には、家庭科を学ぶ子どもたちがいる。
だからこそ、小林氏は教員から寄せられる質問にも、できる限り応えている。「ナップザックの作り方を教えてください」といった基本的な相談にもとことん付き合い、必要に応じて手順資料を作ることもある。一見すると、教員の困りごとを代わりに解決しているようにも見える。だが、小林氏が考えているのは、目の前の先生の問題を解決して終わり、ということではない。
「SNSだけで収まらず、その人たちに意欲があるのだったら、もう一歩先を考えていくことが必要だと思います。SNSをきっかけに、実際に家庭科部の研修に参加したり、誰かに教えてもらったり。そうやって学びが広がっていけばいい」
家庭科の教員不足や研修機会の減少という構造的な問題を、Instagramだけで解決することはできない。それでもSNSには、従来の研修とは違う可能性がある。「困っている。でも、誰に聞けばいいかわからない」という教員と、「自分が持っている知識や工夫を伝えられる」教員を、学校や地域を越えてつなぐことができるからだ。
家庭科を誰もが無理なく教えることができる教科に…
SNSで教材を知る。試しに授業で使ってみる。うまくいかなければ、また別の方法を探す。誰かに聞いてみる。研修に参加してみる。そうやって、教師自身の学びが少しずつ広がっていく。
家庭科を「誰もが無理なく教えることができる教科」にしたい。教える側が「家庭科が苦手だから」と萎縮するのではなく、子どもたちの「できた」を支えられる教科にしていく。
小林氏のInstagramに集まっているのは、単に「便利な教材」を求める教員だけではない。そこには、「家庭科をしっかり教えたい」という思いがある。小林氏が届けているのは、そのための答えだけではない。「子どもがどこでつまずいているのか。どうすれば『できた!』に変えられるのか」。その問いを、全国の先生たちに手渡しているのだ。


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