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台湾で食用油など食品不祥事が繰り返される根深い事情、2026年11月の地方選を前に『食の安全』が政争の火種に

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台湾・台北市の夜市で食事を楽しむ人たち。一方で、台湾では食品安全の問題が頻発する(写真:2023 Bloomberg Finance LP)
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一方で、世論の反響は非常に大きかった。可塑剤への長期的な曝露による子どもの性早熟や生殖機能への影響が懸念されたことから、幼い子どもを持つ保護者を中心に、激しい不安と怒りが広がった。

消費者基金会(消基会)は、568人の消費者を代表して昱伸、賓漢など37社を相手取り、総額約24億台湾ドル(約120億円)の損害賠償を求める集団訴訟を起こした。最終的には請求額のすべてが認められたわけではないものの、この事件は台湾社会に食品安全への強い問題意識を植え付ける契機となった。

廃食油・ラード再利用事件

次に社会を震撼させたのが、14年に発覚した廃食油・ラード再利用事件である。廃食油や残渣油、非食用の油脂などを収集・再生処理し、「食用ラード」として流通させていたことが発覚した。台湾の伝統的な外食・製菓文化を支える食品企業にも汚染油が広く流通しており、食品業界は大きな打撃を受けた。

事件発覚のきっかけの1つとなったのが、屏東県の農民による告発だった。近隣の違法な製油施設からの悪臭や不法投棄などをめぐり、農民らは過去にも地方当局に通報していたが、十分な対応が取られなかった。そこで農民の一人が自ら数カ月にわたって証拠を集め、台中の警察官に相談したことから捜査が進み、問題が表面化した。

さらに、大手油脂メーカーの「強冠企業」や、老舗食品ブランド「味全」を傘下に持つ頂新グループなどが問題の油を購入・使用していたことも明らかになった。強冠企業の「全統香豬油」には、再生処理された廃油などが混入されていたことが判明し、汚染油を使用した食品が台湾全土に広がっていたことが社会に大きな衝撃を与えた。

当局はただちに、強冠や頂新グループなどの問題油を使用した即席麺、月餅、パイナップルケーキ、外食チェーンの商品など、数多くの食品を回収・廃棄する措置を取った。事件への対応をめぐっては、当時の邱文達・衛生福利部長が引責辞任に追い込まれるなど、政府の食品安全行政そのものにも厳しい批判が向けられた。

刑事裁判では、強冠企業の葉文祥会長に懲役22年の判決が言い渡され、頂新グループ傘下の正義油品の経営者だった魏應充にも懲役9年2カ月の判決が下された。

事件は台湾の食品安全管理制度にも大きな影響を与え、食品安全衛生管理法の改正を通じて、違反行為への罰則強化や企業による食品の追跡・管理などが進められた。

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