「1年次と卒業時の成績には相関関係がありますが、1年次は専門科目の割合が少なく、一般教養科目があります。語学も含めた成績に相関関係があるとなると、学習習慣の差があるのではないかと考えられます。一般選抜の学生の中には、高校3年生の秋以降にグッと成績が上がったという成功体験を持つ子もいますが、受験勉強とは異なり、大学の学習は短期間でなんとかなるものではありません。それに気づかないと低空飛行のままということもありえます」
その点、学校推薦型選抜の学生は、高校生の頃から毎日学習する習慣がついていることも多く、一概に一般選抜の学生と年内入試の学生で学力差があるとは言い切れないという。
「大切なのは“自分にはどんな学習スタイルが合っているか”を1年次に理解すること」と渡辺氏。そこで、同大では学習習慣や学習方法に関するセミナーを実施している。
また、学期前に学生自ら目標を設定し、期末には成績をもとにしたレーダーチャートと、その学生が目指すべきレーダーチャートが作成される。学生はそれを元に次の学期の目標を決め、教員がそれをチェックする。
“できる”学生も対象、大学が考えるべきは学習的成功
東京理科大学では入学前教育も行っている。全学科必須の学習課題である数学問題集と読書課題に加え、入学前学習支援講座(通信制・通学制)は各学科が推奨する数学、物理、化学、生物(通信制のみ)から任意に申し込みをして受講する。
対象は学校推薦型選抜(指定校制)、総合型選抜(英語資格検定+特定教科評価・理学部第二部・女子)、帰国生入学者選抜、外国人留学生入学試験(Ⅱ期は入学前学習支援講座のみ対象)、社会人特別選抜(入学前学習支援講座のみ対象)、国際バカロレア入学者選抜(Ⅱ期は入学前学習支援講座のみ対象)の合格者だ。
「学校推薦型選抜の面接でも『合格したら3月までどうしたらいいですか?』と質問されることがあります。推薦で入学する子は学習習慣があり、課題遂行能力が高いので、学習へ誘うような仕組みをとっています」
渡辺氏は「大切なのは、どうすれば本学で学習的な成功(Academic Success)を収めてくれるか。学習に追いつくのが難しい学生だけではなく、“できる”学生をどうするかについても考えている」と話す。
日本の大学は長らく「入るのは難しいが卒業はしやすい」と言われてきたが、2008年頃から大学の質向上に関する議論がなされ、各大学は教育課程の体系化や単位制度の実質化を進め、GPAなど客観的な評価システムを導入してきた。グループワークやレポートも多く、インターンの参加など就活にも追われている。今の大学での学びのシビアさと共に、高校から大学への“学びの移行”にも入学前から意識を向けることが、今後さらに求められていくと言えるだろう。




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