――めちゃくちゃ普通の、というか、いい意味で普通の高校生ですね。
市野瀬:そうなんです。で、その子が火がついたのが、高校3年生の2学期。
――遅い!
市野瀬:遅いんです(笑)。しかも、うちの学校は当時センター試験の前、12月に前年度のセンター試験を模擬で受けるんですけど、その時に彼はマークミスで20点分ぐらい落としていたんですよ。
――20点!? それはさすがに市野瀬先生も叱りますよね。
市野瀬:叱りました。「あなた、これは何?」って。親御さんからも指摘されていて。でも、その子、現役で東大に受かったんです。
――え、そこから!?
市野瀬:はい。しかも東大の入試当日、最後の頼みの綱だった私学の最難関校も落ちてるよっていうメールが東大入試の昼休みに親御さんから届いたそうなんですけど、その子、けろっとしてて。「先生、うちの親ひどいんすよ」って。
――(笑)
市野瀬:で、お母さんも「いや、あんたが教えてくれって言ったから教えたのよ」って。もう、親子で言いたい放題なんです。
――なるほど……。
市野瀬:私、この家を見て思ったんですよ。「言いたい放題な家庭」の子って、めちゃくちゃ強いなって。自分がやりたいこと、言いたいことを、家の中で我慢していない。フラストレーションが溜まっていないから、自分の人生にちゃんと集中できるんです。
――勉強のフラストレーションじゃなくて、そもそも家庭内でのフラストレーション。
市野瀬:そうです。自分の感情を押し殺さずに済んでいる子は、いざ「やる」と決めた時に、爆発的に伸びるんですよ。
とはいえ、放っておいたら大変なことになる?
――今の話、めちゃくちゃ耳が痛いご家庭も多いと思うんです。頭ではわかっていても、「でも、うちの子、何も言わなかったら本当にどこまでも変な方向に行きそうで怖い」っていう親御さん、絶対にいると思うんですよ。
市野瀬:わかります。本当によく聞かれます。


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