――具体的に、そういう「情熱を邪魔されなかった子」で、印象に残っているエピソードはありますか?
市野瀬:あります。あの、ゲームがとにかく好きだった男の子がいたんですね。中学生の時、成績で言えば、下位層だったんですよ。なぜならゲームに没頭していたから。
――もう、絵に描いたような「ゲームばっかりやってる子」ですね。
市野瀬:そうなんです(笑)。で、面談でお母さんとお話しした時も、「まあ、彼に任せているので。私も仕事が忙しいですし」って、そんな感じで終わるお家だったんですね。
――普通なら「ちょっと待って、成績下位なのに、そんな悠長な……」ってなりそうですけど。
市野瀬:そうなんですよ。でも、そのお母さんは違ったんです。「彼はそういう人だから」って。で、その子、結果的に大学は特に高学歴というわけじゃなくて、専門学校に進んだのかな。でも、今、名だたる大手ゲーム会社でゲームを開発しているんです。
――え、そのままゲームで食べていけるようになったんですか。
市野瀬:はい。27歳になった時に同窓会に呼んでくれたんですけど、「先生、作ってるゲームのことは企業秘密なんで言えません」って(笑)。
――かっこよすぎる(笑)。
市野瀬:それを聞いた時に、ああ、あのお母さんは正解だったんだなって、心から思ったんです。あの子の情熱は、ゲームだった。それを親が「勉強しなさい」で潰していたら、彼はきっと、あそこまで自分の人生に集中できなかったと思うんです。
「ゲームばかりしていた子」と「言いたい放題の家庭の子」
――もう1つ、聞いてもいいですか。東大に受かった子で、「この子ダークホースだったな」というエピソードはありますか?
市野瀬:あります。ある運動部で部長をやっていた男の子なんですけど、これがまた、典型的な優等生じゃない子だったんですよ。
――というと?
市野瀬:部長ではあったんですけど、「一生懸命やるから部長」というよりは、「自由な感性で仲間を巻き込んでいく、好きなことを肥やしにできる」ような子で。2ちゃんねるも大好き、漫画も大好き。中高時代、そんな感じで過ごしていた子だったんです。


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