デジタル庁は、民間企業のようにサービスを自ら構築・運用し、その安定稼働にも責任を負う。ただし、扱うのは国民生活を支える行政基盤であり、ひとたび停止すれば影響は大きい。
坂氏は東京大学法学部を卒業した1981年に警察庁へ入庁した。警視庁目黒警察署長や通商産業省通商政策局中南米室長などを経て、2000年8月に生活安全局セキュリティシステム対策室長に就く。情報セキュリティを正面から担当する最初のポストだった。
02年からはハーバード大学国際問題研究所(WCFIA)の客員研究員としてサイバーテロを研究し、03年にはバンコクで開かれたAPECのサイバー犯罪対策に関する会合へ日本代表団の団長として出席している。
05年4月には生活安全局情報技術犯罪対策課長に就任し、サイバー犯罪対策の実務を統括した。その後は青森県警察本部長、兵庫県警察本部長、国土交通省大臣官房審議官、北海道警察本部長を歴任する。間の08年から2年間は慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科の教授として社会安全政策を担当し、22年まで同大学SFC研究所の上席所員も務めた。
「警察の中でサイバー犯罪対策課長も含めてサイバー犯罪対策を担当しましたが、交通関係の経歴もかなりあります。運転免許証のICカード化や、ナビゲーションシステムに道路交通情報を提供するVICSの立ち上げなど、テクニカルでITと関連の深い仕事にも警察の中で従事させていただきました」
坂氏は、警察庁交通局交通規制課理事官時代にVICSの立ち上げに携わり、交通局運転免許課長時代には運転免許証のICカード化を担当した。14年に警察を退職し、同年設立されたJC3の業務執行理事に就任。産学官の連携によるサイバー犯罪対策の体制構築に取り組んだ。
東京2020大会でのCISOの仕事は?
17年4月には東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会のCISOに就任。パラリンピック開催中の21年9月1日には、デジタル庁の発足と同時に同庁CISOへ着任。組織委員会のCISOは22年3月まで務め、約半年間は2つの組織のCISOを兼任した。
「デジタル庁は常に本番ですが、オリンピックの場合、本番はオリンピック本体です。システムは本番前に構築し、テストイベントで実地に利用し検証します。この、本番で使う実環境で、国際オリンピック委員会の専門チームが来て、われわれにはまったく事前情報を与えずに攻撃をしかけ、それに日本の組織委員会のチームが対処する、さらに、本当にシステムを止めてこれを復旧させることまで含めて、演習をやりました」


※ログイン後、コメント入力が可能です。