しかし、私はいつも思うのだ。そもそも、以前からそんなに議事録を作成していただろうか。音声記録を丁寧にまとめる作業を、以前からやっていただろうか。
文章の要約まとめ等も、そうだ。何をそんなに”まとめる”ことがあるのか?
実は、AIでそれができると知ったから、新たに始めた業務であることが多いのだ。もともとやっていなかった作業を新しく始めるのだから、当然、業務時間はその分だけ増えることになる。
これは、オフィスにパソコンが普及した頃の現象とよく似ている。当時、ペーパーレス化が進むと期待されていたが、実際には紙の使用量がかえって増えた時期があった。簡単に印刷できるようになったことで、印刷という行為そのものが増えてしまったのだ。便利な道具が手に入ると、その道具を使う機会そのものが増えてしまう。これは、いつの時代にも起きる現象だ。
目的が「AI活用」になっていないか
もう一つ見過ごせないのが、業務時間を削減できたとしても、その空いた時間に、別の仕事を新たに投入してしまうケースだ。これでは、残業削減にはまったくつながらない。
これは、「パーキンソンの法則」の第1法則で説明できる。
「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」
という法則である。本来2時間かかっていた作業が、AIによって20分で終わった。だからといって、余った1時間40分は何もせず消えてなくなるわけではない。その空白を埋めるように、新しい仕事が自然と流れ込んでくる。時間があれば、仕事はその時間に合わせて膨張してしまうのだ。
もし目的が「残業を減らすこと」であれば、こうした事態にはならないはずだ。空いた時間は、そのまま帰宅時間の前倒しに使われるべきだからだ。しかし、多くの現場で起きているのは、「AIを活用すること」自体が目的になってしまっている。


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