制作サイドがこうした動きを意識するようになったのは、2019年の『あなたの番です』(日本テレビ系)あたりからか。秋元康氏が企画・原案を担当するミステリードラマで、こちらも2クール・半年にわたって放送された。日本テレビが2クール連続の連続ドラマを手がけるのは、25年ぶりのことだったという。
SNS上では毎週、「誰が犯人なのか」との考察が飛びかった。注目したいのは、地上波と並行してHulu(フールー)で『扉の向こう』というアナザーストーリーが独占配信されていたことだ。マンションの各住人を主人公に、本編での不可解な行動の理由や、それぞれの事情を描いていた。つまり公式が、考察のヒントを有料で供給していたことになる。
考察は視聴者の遊びでありながら、その材料は送り手が握っている。この構図がはっきりしたのが、このときだった。
TBSは"感想戦"そのものを番組にした
そこから7年。『VIVANT 悪役会議室』が踏み込んだのは、材料の供給ではなく、遊びそのものの主催だ。
『扉の向こう』はあくまで本編の付属物であり、考察するのは視聴者の側だった。対して悪役会議室では、リスナーから届いた「調査報告」を悪役3人が読み上げ、その場で語り合う。SNS上で散らばっていた感想戦を、番組という器に集約してしまった。しかも有料配信ではなく、ラジオとYouTubeの無料生配信である。
ここには、いくつかの計算が働いているように見える。
ひとつは、時間帯だ。ドラマの終了直後、視聴者がSNSを開くタイミングにぶつけている。考察が最も熱を持つ数十分を、公式が押さえた形になる。もうひとつは、人選だろう。第1シーズンで退場した3人を起用することで、本編のネタバレを避けつつ、既視感のある顔ぶれで語らせることができる。制作の中枢が出てくれば「答え合わせ」になってしまうが、彼らは劇中で敗れた側だ。あくまで視聴者と同じ地平から推測する立場でいられる。


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