(2)「フィードバック力」の再定義
AIの分析結果というある意味「無機質なデータ」に、いかに血を通わせて部下へフィードバックするか。このコーチング技術こそが、AI時代の管理職に求められる新たなスキルです。人間が評価作業から解放された分、こうした対話スキルを磨くことが、企業全体の人間力を底上げします。
人間中心のAI活用で従業員に選ばれる会社へ
「欧州AI法」では、人事評価や採用に用いられるAIは高リスクに分類され、透明性の確保や人間による監視などが求められています。
日本でも、総務省・経済産業省が策定したAI事業者ガイドラインにおいて、「人間の判断を介在させることにより、人間の尊厳および自律を守りながら予期せぬ事故を防ぐこと」の必要性が記されています。
人事評価の本来の目的は、従業員を成績表で裁くことではありません。従業員1人ひとりの可能性を引き出し、会社の経営理念を共に達成するための「成長の羅針盤」をつくることです。
適切な評価は退職を防ぎ、トラブルを減らし、会社と従業員の信頼関係を育みます。
AIの答えに魂を吹き込み、企業の閉塞感を打破し、従業員の背中を押すのは、経営者や人事労務担当者、そして上司の仕事です。「人間中心のAI活用」を通じて、従業員が「この会社で頑張りたい」と思える活力ある組織を築いてください。
最後に、これまで解説してきた内容を踏まえ、AIの人事評価への導入を成功させるために必要な4つのステップとして整理します(図表2)。
社会保険労務士法人シグナル代表。特定社会保険労務士。IPO支援、人的資本経営支援、労使トラブル予防・相談、就業規則作成、セミナー講師、執筆等多方面で活躍。企業の成長フェーズに応じ一歩先回りした組織力強化コンサルティングを得意とする。


