そこで注目されるのが、今回噂された高市首相の人事への“横やり”の理由だ。昨年10月の首相就任以来、高市氏は「ことあるごとに財務省を敵視する発言を繰り返してきた」(官邸筋)ことで知られる。「自らが“悲願”と公言してきた飲食料品減税に対し、財務省の事務方が手練手管で実現阻止に動いていた」(自民党税調幹部)と受け止めたからだ。
近い将来の事務次官候補として財務省が官邸に送り込んだ吉野維一郎首相秘書官も、「最近までほとんど首相執務室に入れてもらえない状態が続いていた」(官邸筋)とされる。
そうした高市首相の“財務省嫌い”の象徴的存在が、反減税派のリーダーと目されてきた宇波氏だった。そのため、高市首相は「早い時点から、今回の人事で宇波氏を勇退させ、税制の専門家である青木氏を事務次官にすることを画策していた」(財務省関係者)とみられている。
反減税派が事務次官に決まった舞台裏
高市首相は、総務相や自民党政調会長を務めた際に「人事権を誇示して、部下を従わせてきた過去がある」(自民党長老)とされる。まして首相という行政の最高権力者ともなれば、「各省庁の最高幹部人事に口出しするのは当たり前と考えた」(同)のは当然だろう。
だが最終的には、旧大蔵省出身で女性初の主計官として名を上げた片山さつき財務相が「『高市首相といえども、私の縄張りには口出し無用』と反旗を翻した」ことで、今回の人事に落ち着いたとの見方もある。
そうした中で、なんとか自民党内や野党各党の反対論を封じ込めて8月5日午後に閣議決定する見通しなのが、史上初の消費税減税となる「飲食料品減税」だ。「直ちに着手しなければならないのが、来年4月から2年間限定となる減税実施のための具体策や財源確保策の策定」(財務省幹部)となる。
その場合、政府の対応を主導するのは、高市首相よりも経済・金融政策に詳しい片山財務相となるのは明らか。片山氏も高市首相の意向を踏まえた対応に努めるとみる向きは多いが、「片山氏にとって、手足として動いてくれる宇波次官ら事務方の判断を重視・優先しなければ、女性初の財務相としての権威を失いかねない」(自民党長老)ことにもなる。

