「法律の勉強をしてわからなかったことを知る、新たな問題点を発見してそれを知ることに人生の達成感があると感じます。受験にかけたお金や努力の対価は、すでにその過程で全て返してもらっているという認識です。
慶應ローで若い友人たちとワイワイ過ごせたこと、今でも弁護士や検察官になって活躍している友人がいることなど、普通ではできない経験を宝物としていっぱい得ました。勉強を続けられたのは、仕事を辞めているし、他にすることがないからです(笑)。でも一番は、知ることが楽しかったことですね。疑問点が解けたり、受験テクニックを学んだりすることも含めて、知るということが私にとってのキーワードです」
また、それに加えて、「山登り」という感覚も語ってくれました。
「山登りは麓から上を見上げても先の道が見えません。高みに行くにつれて先の景色が変わってきおます。はじめてみないと先のことはわからないし、登り出すごとに見通しが変わってくる。はじめてみないと、先のことはわからんわ、と思って踏み出していました」
「挫折を味わったことはない」
今までの人生において挫折を感じたことがあるかと聞いたところ、「挫折という言葉を辞書で引いたら『目的が達成できないこと、心が折れること』と書いてありましたが、そういう意味では味わったことはない」と晴々とした表情で答えてくれました。
20歳のとき「今の1年は人生の1/20の重さがある。司法試験の勉強は1年の値打ちが相対的に下がってからやろう」と考えていた粟田さんですが、合格後に改めてその考え方について振り返りました。
「私は今68歳で、88歳まで生きるとしたら残り20年。68歳から見ると、1年というのは残りの人生の1/20の値打ちです。そう考えると、リスクを極小化できるタイミングは、結局はないというのが、今思い当たることです。人生のどのタイミングでも同じだけのリスクがあるんだなと感じました」

