「そこそこ給料も良いし、職場の地位も上がっている中で、総務省を辞めて受験勉強をはじめることについて相当悩んでいました。口に出して友人にリスクを話すことで頭も整理もできるし、考慮するべきリスクとリターンなどのチェックポイントを明らかにしていきました。
父親の定年が55歳だったことや、今のタイミングで辞めたらそこそこ年金もつくことなども考えて、チェックポイントをギリギリクリアしていると思ったのが55歳という年齢でした」
66歳でついに司法試験合格
複数の要素が重なって、55歳の誕生月にあたる8月末に総務省を退職し、9月から予備校に通い始めます。
57〜58歳頃から予備試験を受け始め、予備試験の短答式試験には2回合格したものの、論文式試験には合格できない状態が続きました。
そこで「ロースクールに行ってちゃんと勉強をした方がいい」と考えた粟田さんは、還暦の年に慶應・早稲田・中央のロースクールに出願し合格します。その中で司法試験の合格率が最も高かった慶應を選びました。
「慶應のロー生はほとんど超エリートで、平均年齢22歳台の中に60歳として入学しました。合格者の平均年齢を1歳弱引き上げてしまいましたね(笑)。優秀な人も多かったですが、予備試験の短答式試験にも合格していたので成績はそこそこ上位でした」
一方で、ロースクール卒業後も、試験本番では合格できない日々が続きました。司法試験は、5回不合格(5振)になると失権します。もう受験はできず、再受験には法科大学院への再入学・修了か司法試験予備試験に合格しなければなりません。
しかし、粟田さんはこの最後の5回目で、ついに合格を果たします。20代からの夢を叶えることができました。合格発表の時点で66歳となっており、その年の最高齢合格者でした。
5回の試験受験や、11年にわたる司法浪人を終えた粟田さん。司法浪人して良かったことを聞くと、「プロセスそのものに価値があった」、頑張れた理由を聞くと、「知ることが楽しかった」と答えてくれました。

